上田 昭二さん [千葉パルコ店長](50代男性)
愛知県名古屋市出身。高校生の時までを愛知県で過ごし、大学から東京で暮らす。現在は、千葉県浦安市在住。1989年に株式会社パルコに入社、2009年3月より千葉パルコ 店長に就任、千葉パルコ最後の店長となった。
40年間のご愛顧、誠にありがとうございました。
さて、今回の企画で、この方にお話を伺わないわけにはいきません。40年間という長い歴史とともに、千葉の街のシンボルとして愛されてきた千葉パルコの店長、上田さんです。想いは数あれど、千葉の街とともに存在してきた千葉パルコとして、千葉の街への熱い想いと、感謝の気持ちをしみじみと語っていただきました。
実はパルコ歴は28年になるんです。
「私がパルコに入社したのは29歳の時でした。そして、千葉パルコの店長になってからはもう8年経ちます。パルコに入る前はメーカーの方で宣伝関連の仕事をしておりまして、私の実家が名古屋なのですが、名古屋パルコが1989年にオープンするにあたって、開発に携わらせていただいたことが入社のきっかけになります。なので、パルコ歴でいうともう28年ですね。店長という立場から、今回閉館をするにあたって思うことは、40年という長い歴史の中で、これからJR千葉駅の改修工事が終わって、千葉の中心市街地をペリエ千葉さんや三越千葉店さん、千葉そごうさんとともに盛り上げていこう、頑張っていこうという動きの中、1抜けるということになってしまいますので、非常に残念だなという気持ちがあります」
今回、千葉PARCO@のインタビューを受けてくださった千葉パルコ店長、ペリエ千葉店長、三越千葉店店長の3店長の中で、一番、店長歴が長い千葉パルコ店長の上田さん。上田さんが店長に就任してから現在までの間、流行も人も街も様々な変化がありました。上田さんが千葉パルコの店長として、地域活性化に取り組んできた8年間で、どんな変化があったのかを語っていただきました。
東京のサテライトとしての動きではなく、千葉独自の魅力に目を向けた街づくりを。
「2000年代初頭に、郊外型の大型商業施設が千葉に続々と登場し、中心市街地から郊外へと人が流れていきました。郊外に大型商業施設ができるということは、今まで千葉に来て買い物をされていた郊外に住む方々が、千葉に来なくとも買い物ができるようになる、ということなんです。千葉という街は、東京のサテライトのような認識で街づくりが行われているように感じるのですが、小売の数字から見ると、千葉という街は、千葉の外から人が多く集まる『地方の大型都市』という印象があるんです。私は、今後の千葉の街づくりとして、いかに『足元を意識するか』が大切なのではないかと思うんです。千葉県というのは、漁業にしても、農業にしても非常に裕福な県だと思います。なので、東京を見る、東京を模倣するというよりは、千葉独自の魅力に目を向け、PRしていくことが重要だと考えています。例えば、千葉に来て初めて知ったのですが、伊勢海老なんかは千葉の勝浦の方が伊勢よりも漁獲量が多く、日本でNo.1なんです。なので、こういった面白い要素を発見して、PRするといったことを街ぐるみでやっていくと、千葉らしさが出て面白いですよね」
確かに、千葉には東京を意識したような要素がたくさんありますよね。ですが、上田さんのおっしゃる通り、千葉には海も山も大きな街もありますし、様々な産業が盛んです。そんな千葉らしさに目を向けた取り組みを、行政だけでなく、千葉の大型商業施設、商店街、個人商店を含めた街ぐるみで行い、千葉の素晴らしさをPRしていくことが、将来的に千葉の街がより活性化する鍵になるのかもしれません。
千葉パルコにご来店いただいた多くの方の記憶に少しでも残れたことを嬉しく思います。
「千葉PARCO@の企画にご参加いただいた方の記事を拝見して、幅広い年代の方の千葉パルコへの想いを知ることができ、非常に嬉しく思っております。元々、パルコというのは、若い世代の方をターゲットにしておりますので、現在40代、50代の方が、20代の頃に千葉パルコでデートをしたり、ショッピングをしたりという話も多く見られて、多くの方の記憶の中に、少しでも千葉パルコという存在が残ればいいなという想いで仕事をさせていただいている身として、こういった声をいただけるのを非常に光栄に思います。今回、皆様への感謝を込めて千葉パルコ40周年を記念した切手も発売させていただきます。40年間という歴史の中、多くの方の記憶に少しでも残ることができたこと、そして、最後に切手という形で千葉パルコがここにあったということを形に残せることを非常にありがたく思います。11月まで様々な取り組みをしてまいりますので、是非多くの方にご来店いただき、思い出を作っていただければ幸いです。40年間のご愛顧、誠にありがとうございました」
多くの方の「千葉パルコとワタシ」をピックアップしてきた、このインタビュー企画ですが、今回は少し趣を変えて、千葉パルコ店長上田さんの見つめる、「これからの千葉」についてのビジョンなどを伺わせていただきました。惜しまれつつも11月30日に千葉パルコは閉館してしまいますが、40年間という歴史に千葉パルコがあったからこそ、たくさんのエピソードが生まれました。本当に40年間、お疲れ様でした。