北條 司さん [三越千葉店 店長 ](50代男性) 北條 司さん [三越千葉店 店長 ](50代男性)

北條 司さん [三越千葉店 店長 ](50代男性)

埼玉県志木市出身。1982年に株式会社三越(現在の株式会社三越伊勢丹)へ入社。当時は三越池袋店雑貨部かばん売り場担当として配属、その後は数々のお店と役職を歴任。2015年4月、三越千葉店の店長に就任、現在に至る。

これからも、千葉に行きたいと思わせる取り組みを街ぐるみでやっていきたい。

千葉パルコの最も近くに位置する大型商業施設「三越千葉店」。千葉パルコの閉館にあたって、店長の北條さんからお話を伺うことができました。商業施設同士として、切磋琢磨し、またスクラムを組んだりといろいろな表情があります。そんな千葉市の中心市街地の“顔”同士として、千葉パルコについて語っていただきました。

PARCOってイタリア語で「公園」って意味なんですよね。

「千葉パルコって、全国で4店舗目にできたパルコでしたよね? 池袋パルコからスタートして、確か僕が高校生の頃に渋谷パルコができて。そこから札幌、千葉。今振り返ると、パルコには当時で言うアンノン族や男性誌のPOPEYEのイメージがありましたね。僕と同じ世代の方なんかは、僕と同じようなイメージを持っているかもしれません。渋谷パルコができてから、グーンとパルコが全国に展開されていって、千葉銀座通りの一角に千葉パルコができて、『渋谷まで行かなくていいんだ』って思われた方も多かったんじゃないでしょうか。渋谷パルコは渋谷公園通りにできて、千葉パルコは千葉中央公園の向かいにできて…。そういえば、PARCOってイタリア語で『公園』って意味なんですよね(笑)」

驚くほどパルコについて詳しい北條さん。千葉パルコは全国で4店舗目に展開されたパルコ。偶然だったのか意図的だったのかはわかりませんが、千葉パルコの目の前には、千葉中央公園。その場所で40年間営業を続けてきた千葉パルコですが、三越千葉店にとって、千葉パルコとは一体どんな存在だったのでしょうか? また、千葉の大型商業施設同士、お互いに協力した取り組みを行うに至った背景はどのようなものなのか、伺ってみました。

時代の流れと共に、僕ら大型商業施設同士が協力していくのは自然なこと。

「私どもにとって千葉パルコというのは、千葉の街でともに商売をして、地域を盛り上げるために一緒に取り組んできた存在です。千葉パルコと三越千葉店とではメインとなるお客様の世代が大きく違うということもありますが、同じ大型の商業施設として、一体どんな集客策をとられているんだろうというのは気になる点ではありますね(笑)。実は、僕が三越千葉店の店長になったのは2年くらい前なのですが、僕の印象では、中心市街地に位置する様々な大型商業施設と地域とが一体になって街づくりに取り組むという姿勢が定着してきたのは、つい最近のように思います。JR千葉駅が建て替えられ、幕張新都心や蘇我副都心には車を使って出かけることを意識した郊外型のショッピングセンターが登場するなど、駅を中心とした人や経済の流れが現在多極化しています。こういった背景から、千葉駅を含めた千葉の中心市街地に立地する大型商業施設が、切磋琢磨していく部分と、スクラムを組んでいく部分とが生じるのは、ごく自然な流れのように思います。それが、ここ数年でより加速し、協力体制が密になってきた部分がありますね」

大型商業施設同士が手を携えあったのは、「つい最近のこと」と語る北條さん。今までそれぞれが独立した商業施設として存在していたとこから、スクラムを組んでいくという流れに移ったのは、時代の移り変わりが人と経済の流れを変化させていったためだったんですね。一極集中の都市構造から、多極化へ。住みやすくなるなどの良い面もありますが、その反面、街全体の活気が分散してしまうという面も。

地道にコツコツと地域活性化のための取り組みを続けていくことがこれからの千葉にとって大切。

「今回、11月で千葉パルコが閉館されるということは、皆様と同じく残念だという気持ちもありますが、『千葉パルコさん、40年という長い間お疲れ様でした』という労いの気持ちが一番ですね。千葉パルコ閉館にあたって、結果として千葉銀座通りのトラフィックなども落ちてきてしまうかもしれません。なので、今後は1発だけドーンと上がる大きな花火のような取り組みではなく、千葉の街に人を集めるためのイベントや取り組みを、行政や近隣の商店街を含め、大型商業施設同士がスクラムを組んでコツコツとやっていくことが重要だと思います。年に1回だけではなく、地道だけれども、手数の多い、そして何より地域の方や遠方から来られるお客様が楽しむことができて、『千葉にまた行きたい』と思えるイベントや取り組みができれば良いですね」

「地道だけれども千葉に人が集まるための企画をどんどんやるべき」と提案する北條さん。地道な活動が、ひいては千葉の街としての魅力の向上につながり、その結果として活気溢れる千葉になっていく。そのために、地道にコツコツと。ハードからソフトへ、というように、そういう街づくりの意識があらゆる人たちの心に根付き、そして、より良い街にしていきたいですね。